ハイヒールマジック

私がハイヒールの不思議な力を
初めて感じたのは、
遠い昔に海外で海辺のレストランへ
1人で訪れた時のことです

街1番と評判のfine diningへ
運良く予約を入れることができたのですが、
その日は朝から夕方まで観光で歩き回った後、
食事のためにホテルへ着替えに帰る事が
出来ないのが問題でした

苦肉の策としてハイヒールを
バッグに入れて出かけ
食事前に履き替えて、
せめて少しでもドレスアップを
することにしました

レストランに着くと
金曜日の夕方であったのもあり、
レセプションの周りには
人々が次々と来店し
ザワザワとした雰囲気でした

スタッフの方が4~5名
いらっしゃったのですが、
忙しそうに動き回り、
私には気付いていませんでした

私はレセプションの横の
パウダールームに入り、
前日に買った美しいManolo Blahnikの
ハイヒールに履き替え、鏡を見ました

履いた瞬間に足元から頭の先まで
何か上ってくるような不思議な感覚になり、
気分が高揚したのが分かりました

パウダールームを後にして
レセプションへ向かって少し歩くと、
先ほどは全く私に気付かなかった
スタッフの方々が私の方を振り向き、
にこやかに応対してくださいました

「ハイヒールの力かしら?
ただ靴を履き替えただけでこの違いは?
まさかね」
と心の中でクスっと笑いながら
スタッフの方が案内してくれる
席に向かいました

するとそのスタッフの方が、
「とっておきのいい席があるので
ご案内しますよ」
とにっこりして仰いました

「こちらですよ」と言われ、
そこから見える景色に
ため息が出そうになりました

そのレストランは店名にcove(入り江)
という文字が含まれているのですが、
そこからはその名の通り入り江が一望でき、
店内の特等席だと即座に分かりました

このレストランには
常連の方がよく来ているようでしたが、
そんな方々より、
前日に予約を入れて
初めて来店した私が
このような待遇を受けるなんて、
どう考えても不思議で、
何か特別な力が働いたような気がしました

「ハイヒールマジック」かもしれない、と
ふと思いました

空が夕焼けのバラ色から
薄紫に変わる様子を楽しみながら
ディナーをいただき、
思い出に残る美しい時間を
過ごすことができました



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